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篠原資明インタビュー

アートまぶさび


 
アートまぶさび展フライヤー


寺田就子《こぼれる明かり》2009(写真提供・ギャラリー16)


西奥栄利子《untitled 4》2009(写真提供・ギャラリー16)


「アートまぶさび」(2009)会場風景(写真提供・ギャラリー16)


ハガ
この9月には、先生の企画された「アートまぶさび展」がギャラリー16(京都)で開催されるんですけど、この展覧会について教えて下さい。

篠原
この展覧会には、寺田就子さんと西奥栄利子さんに参加してもらっています。
寺田さんは、見る位置によって見え方が変わってくるような、映り込みを用いた透明素材・反射素材の使い方をする作品の人で、真っ先に思い浮かんだんです。西奥さんは、昔は福島栄利子さんといっていたんですけど、ちょうど京都府美術工芸新鋭選抜展で見て、非常に記憶に残ってたんですよ。

ハガ
西奥さんはどんな作品を作る人なんですか?

篠原
透明な支持体や白い支持体に微かな操作を加えていて、見方によってはそれが現れてくるんだけど、ちょっと位置を変えると消えてしまうような作品です。だから、現れては消えるっていうのか、やっぱり透き通り素材の特徴を非常に生かした作品制作で。


ハガ
そうなんですか、私は初めて名を聞いた作家さんです。

篠原
僕も長いこと会ってなかったんだけどね、僕が彼女の作品を見たのは2002年だったかな。メキシコに留学したりして、ちょっとブランクがあったんですよ。今は高知にいるんだけど、探り当てて「どうですか」と言って、出してくれることになったんですけどね。


ハガ
じゃあ「アートまぶさび展」ということで西奥さんを探されたんですね。

篠原
そう、候補として何年も頭にインプットしてたんです。すごく渋いですよ。やっぱり、これ見よがしのでかい作品とかじゃ「まぶさび」にならないんですよ。微かに揺らめくような感じとか、玉響(たまゆら)っていう日本語があるけど、まさに玉響なかんじですね。反射素材をコテコテ使って、デパートのインテリアみたいになっても「まぶさび」じゃないですから。(笑)


ハガ
寺田さんにしても、映り込みとかを「のぞき込む」っていうような動作が入るのかなと思うのですけれど、いかがですか?

篠原
そうですね、壁に設置されているのを水平方向で見るっていうのが、普通の絵画経験でしょう。寺田さんの作品はのぞき込んだり、ちょっと違う角度も要求しますよね。建築の一部かなと思ってのぞき込んだら彼女の作品があるとか。だから、見るたびに面白い発見がありますよね。サイズ的には小さいものが多いんだけど、非常に大きな驚きを与えてくれるというのかな。大ファンですよ、昔から。


ハガ
大ファンでいらっしゃるのですね、渋いですよね。

篠原
最近、たくさん展覧会を開いてる宮永愛子も僕に言わせると「まぶさび」な作家です。ナフタリン自体が無色だし、光の使い方もすごく上手で。単にナフタリンの靴が消えていくだけじゃなくって、消えた後で透明なケースの中に再結晶していくっていうところまで彼女の作品でしょう。「無常観」っていうのは、言い方を変えると「生成変化」だからね。そこに「さび」っていうものの重要な要素があるわけでしょう。


 
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