toppeople[寺田就子インタビュー]
寺田就子インタビュー
浮かびたいという願望を形にする
Shuko Terada Interview

寺田就子の作品を見たとき、かわいいと思う半面、いくばくかの疑問も感じる。それは物事には「どうしてこうなるのか」という疑問に対する答えがあるはずだが、寺田の作品に対しては、はっきりとした答えが出せない気がしているのと似ている。感覚を改めて実感したり、想像をはりめぐらせることこそ、作品と向き合う楽しさなのだと、寺田の作品から教えてもらうことが多い。

Interviewer 藤田千彩
大阪府枚方市の寺田就子アトリエにて
《空気の厚み》、2006年 


京芸に行くことは小学生から決めていた

藤田
こんにちは。私は美術ライターになろうと思ったとき「同世代を記録しよう」と思って、同世代の作家をリストアップしました。いろいろ調べていく中で、一番作品を見たいと思ったのが寺田さんでした。大阪に住んでるんだ、ああ東京でやらないかなって思ってたけど、思いきって2004年春、岐阜のGALLARY CAPTIONへ見に行ったのでした。寺田さんの作品は、不思議系なんです。そこのところを今日聞きたくて。まず、いつから美術にハマったのかを教えてください。

 
 
 
アトリエの様子
寺田
あ、はい(笑)。小さい頃からお絵かき教室に行ってたんです。ピアノも習ってたんですが、お絵かき教室のほうが楽しくて。たぶん先生と親の会話を聞いてたからだと思いますが、小学生の頃から「京芸(京都市立芸術大学)に行く!」って言ってました。


藤田 
そんな小さい頃からですか!

寺田 
そうですそうです。小学生だから、中学と高校の区別はつかないくらい小さい頃だったのに、大学は京芸って決まってた(笑)。だから中学とか高校の学校生活は、美術じゃないことをやっていました。学校以外では、お絵かき教室とか展覧会や画廊を見に行ってたけど。


藤田 
例えば?

寺田 
吹奏楽部に入ってクラリネットやってたんです。

藤田 
うわぁ、そうなんだ!それで京芸に?

寺田 
浪人して。「浪人したい」と言ってて、だって人生でそんな時間を過ごせるのって、その時しかないやんって思いません?だから浪人はする、って決めてました。

藤田 
面白いですね!!

   
 
《平らに・光の巣》(部分)、1996年
 
 
《新しい秘密領域》、1996年
 
 
《虚同な正反対》、1997年
 
 
《何をみる眼》、1998年
彫刻を経て、版画との出会い

藤田 
私自身、美大じゃないのでよく分からないのですが、京芸はどういうカリキュラムなのですか?

寺田 
美術、工芸、デザインに分かれてるんですけど、入って半年はごちゃまぜで、入ったあとに専攻を決めるんですよ。私は1回生後半から2回生前半、彫刻基礎を取っていて、そのあと版画を専攻したんですが、彫刻も楽しかったんです。


藤田 
寺田さんと彫刻って、意外な組み合わせに感じますけど。

寺田 
彫刻って言っても、素材が樹脂もあれば鉄もあって、自由にできるんです。


藤田 
そうなんだ。それで版画に?

寺田 
銅版画です。


藤田 
なぜ銅版画を?

寺田 
金属の腐食と冷たさに魅かれて。あと、線も細かいのが作れるから。


藤田 
それから高松(香川県)に修行に行くんでしたっけ?

寺田 
卒業して、ですね。知り合いのつてで、大学にあるようなプレス機を、家に持っている方がいらして、それが高松だったのです。


藤田 
どのくらいいたんですか?

寺田 
大学院に行ったつもりでいたので、2年ですね。それから大阪に戻ってきたんです。

 
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寺田就子(てらだしゅうこ)
1973   大阪府生まれ
1997   京都市立芸術大学 卒業
個展
1999   「光りの透きま」(galerie 16/京都)
2000
〜2006
  「中空宙」(galerie 16/京都、GALLERY CAPTION/岐阜)
2006   「澄んだ にごり」(GALLERY CAPTION/岐阜)
2007   「ひとときの虹」(galerie 16/京都)
「終わりの扉」(GALLERY CAPTION/岐阜)
主なグループ展
1996   「全国大学版画展」(町田市立国際版画美術館/東京)
2001   「差の地図:日米芸術家交換フェローコラボレーションプロジェクト」(galerie 16/京都)
2002   「THE BOOK/観賞週間」(galerie 16/京都)
2003   「christmas show 2003」(GALLERY CAPTION/岐阜)
2004   「京都府美術工芸新鋭選抜展〜2004新しい波〜」優秀賞(京都文化博物館/京都)
2005   「裏・アートマップ」(京都芸術センター/京都)
「旅の空」(GALLERY CAPTION/岐阜)
「MUSEUM LABORATORY 2005」(海岸通ギャラリー・CASO/大阪)
「目前の視野」(gallery アートフェチ/愛知)
2006   「ArtCourt Frontior 2006」(ARTCOURT Gallery/大阪)
寺田就子さん 
 



 

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