topreviews[あいちトリエンナーレ2010「企画コンペ」/愛知]
あいちトリエンナーレ2010「企画コンペ」

 
時期
10月6日〜10月31日
作家名
場所
ARTISANビル1 階内壁面


作品部分/藤田千彩撮影

私は「写真だ」と言い、友人は「油絵だ」と言う。
監視のおじさんは「重力でずれ落ちる」ということを教えてくれた。
絵柄として人が表現されているそうだ。
そう言われても、技法や作品形態、つまり遠くから見(せ)るのではなく作品と目が近づくことがかわいそうだった。

時期
10月6日〜10月31日
作家名
場所
愛知芸術文化センター アートスペースX


外観/藤田千彩撮影

すごく惜しいと思ったのは、平川祐樹、水野勝規、吉田知古の3人の作家や、個々の作品に差異を感じなかったからだろう。
映像、写真とメディアが違うと言えば違うのだが、水というテーマのせいか、無機質で透明でさらっとした感覚が似ているのだ。
かといって、中川運河の説明がうるさくなると水道局でのパネル展示と変わらなくなる。
キュレーションは難しいなあと実感した。

時期
10月6日〜10月31日
作家名
場所
愛知芸術文化センター アートスペースH


藤田千彩撮影

豆、トウガラシ、といった小さな食材が敷き詰めてあった。
よくある現代美術のインスタレーション、といえばそうかもしれない。
でも「もしこれを混ぜたら」、私の知らない愛知の郷土料理になるのかもしれない。
あるいは愛知名産のものなのかもしれない。
しれない、のは、知らないということ、私は日本人なのに愛知のことを知らないのだ。
それを海外作家によって知らされる恥ずかしさを感じた。

時期
8月21日〜10月31日
作家名
場所
長者町繊維卸会館、八百吉ビル、ATカフェ


あいちトリエンナーレ事務局提供

最初に気付いたのは、ATカフェの窓ガラスに貼られた、小さな小さなタイルのような絵画だった。
この画像も、一見すると商店の入口にしか見えないだろう。
アルミサッシのひと枠の幅、つまり5cmほどの幅の絵が、このアルミサッシに貼ってある。
美術作品の価値基準で「量が多い」とか「大きさが大きい」といったものばかりが目につく今日このごろ(あいちトリエンナーレもそうである)、ささいな抵抗のような佐藤の作品に、いったいどのくらいの人たちが目にしただろうか?

時期
8月21日〜9月12日
作家名
場所
伏見地下街店舗(ではなく中愛株式会社ビル)


あいちトリエンナーレ事務局提供

展示会場である伏見地下街店舗では、作品を見られなかった。
「コンペ」というのは場所に対しての提案が受け付けられ、通ったのではないだろうか?
という素朴な疑問のまま、伏見地下街をあとにした。

時期
9月15日〜10月3日
作家名
場所
ARTISANビル1 階内壁面


あいちトリエンナーレ事務局提供

事務局から画像をいただいたとき「見てないっ」とつぶやいてしまった一品。
移動する作品、というのも「コンペ」で通るとは。
しかしこの人だかりの画像を見る限り、ある意味、街の景色を変えてしまったと言えるのではないだろうか。

同じ展示会場をつかっていながら、期間によって違うアート作品を見ることができ、「この間と同じ空間か!?」と感じてしまった。
それは普通の美術館では当たり前のことなのだが、特に長者町のように白い空間ではないところで見せる場合に「腕比べ」の場となった。
「この間まで花屋だったところに吉野家が入った」みたいな感覚で見たとき、もとの花屋だったことさえ忘れさせる吉野家の強烈なテイストがあったほうが良い。
逆に「吉野家だったが花屋になった」とき、牛丼の匂いから花のいい匂いに変わるまで時間が掛かっては不幸だろう。
こうした気持ちで、あいちトリエンナーレが試みた「企画コンペ」を見ると、キュレーション、作品の持つ力、企画といったことの難しさ、大変さを察する。
私はまったく門外漢のため、どういったことに気を置くべきなのかさえ分からないが、またこういうチャンスの場を見てみたい。

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