topreviews[瀬戸内国際芸術祭2010/瀬戸内海の7つの島+高松]
瀬戸内国際芸術祭2010

島とアートを巡る旅〜つながる編〜
TEXT 藤田千彩

今回私が訪れたのは、7月のプレス向けプレビューの日、
岡山市に属する犬島と香川県に属する豊島(てしま、と読む)だけです。
個人的に犬島(柳幸典《精錬所》作品)は昨年訪れているため、今回はそれ以外の作品について紹介します。

■犬島

犬島は歩いてまわることができる島、島民以外の車は乗り入れできないようです。
そんな小さな島では《家プロジェクト》が展開されています。


《家プロジェクト:F邸》(柳幸典/妹島和世/長谷川祐子)

庭に花が咲きほこるF邸では、柳幸典による「目」の映像が映し出されています。
壁一面に投影されたぬめぬめした目の表面を見ていると、なにか見ているものが映し出されており、吸い込まれそうな気持ちになります。
遠くからでも「ここにアートがある」と分かる、きれいな建物。
焼板(やきいた)と呼ばれるこの地方独特の家に比べて、すのこのような木肌の家の白さがとても目にしみます。


《家プロジェクト:中の谷東屋》(妹島和世/長谷川祐子)

するすると小道をたどると、うさぎの耳のようなステンレスの椅子が見えてきました。
この椅子は島のあちこちで見られるので、アイコンのように配置されているのかもしれません。
くつろぐにしては、日差しもあり、暑そうです。


《家プロジェクト:I邸》(柳幸典/妹島和世/長谷川祐子)

そのまま道なりに歩いていくと、今度はガラス張りの建物が出て来ました。
木造建築ばかりなので、この透明なガラスがきれいすぎて異様です。




しかもレース編みのような模様が入ってます。
ここで着替えたりするのも恥ずかしいし、友達とおしゃべりしたら蒸し暑いだろうなあ。
いろいろ想像してみますが、この非現実すぎる建物に「きれい」以外の感覚は持てませんでした。

私が行った日には、自動ドアのようなものは開かなくて、この中に入ることはできませんでした。
すると神主さんが登場、始まったばかりで、祈祷もまだだったのでしょうね。

そしてまたせまい道を歩いていると、きれいな建物が見えて来ました。


《家プロジェクト:S邸》(柳幸典/妹島和世/長谷川祐子)

私が行った日はまだ完全に中を見ることができず、隠し撮りのような撮影です。
柳さんのネオンの日の丸がこうこうと光を放っていました。
それにしても、外のまぶしさと建物のきれいさに、目も心も奪われてしまいます。

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瀬戸内国際芸術祭2010
2010年7月19日〜10月31日(会期中無休/一部施設休館あり)

瀬戸内海の7つの島+高松 直島/豊島/女木島/男木島/小豆島/大島/高松港周辺(香川) 犬島(岡山)
 
著者のプロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ。
この夏は東京・立川にある国文学研究資料館「アーカイブズ・カレッジ」に通っています。
PEELERふくめ、記録する・伝えることについて考える毎日です。




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