マゼンタ動き、都市が動き出す
TEXT 友利 香
※マゼンダは、あいちトリエンナーレのイメージカラーです。
※マゼンダは、あいちトリエンナーレのロゴマークの色です。
「都市の祝祭 Atrs and Cities」というテーマを掲げ、現在開催中の「あいちトリエンナーレ」。
まず私の頭にひっかかったのは「都市の祝祭」という言葉。田舎人の私からみると名古屋などの都市は、「いつも祝祭(非日常)!」のイメージなのだ。プログラムを見ると、このトリエンナーレは「祝祭性」「先端性」「複合性」を基軸に、美術・演劇・ダンスなと、あらゆるジャンルの芸術で構成され、マルチチャンネル的な都市(city)の表情をしている。どんな展覧会なのか、これは実際に行くしかない!
展覧会は、名古屋市街の4つの会場に分かれ、それぞれの場所性を生かした展示になっている。
まずは、大きな作品と大勢の観客でごった返し、トリエンナーレの核としての貫禄を見せ付ける愛知芸術文化センターの様子から。
ジェイアール名古屋タカシマヤ(JR名古屋駅の駅ビル)には黄色のカボチャ、愛知芸術文化センター会場入り口には水玉のプリウス、納屋橋会場内には草間模様のソファなど、市内随所に出現する草間作品。
画像は、オアシス21の噴水の作品で、トリエンナーレを象徴する作品の一つである。
お客はこの作品を目印に会場に向かい、そして館内へと導かれる。
松井紫朗《チャンネル》 |
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あいち芸術センターの中から外へ、外から中へと蔓こる巨大バルーン。
松井は、トリエンナーレのイメージカラーであるマゼンタの反対色として緑色を使用。
カフェからバルーン内部に入り、外へ出ると目の錯覚で景色がピンク(マゼンダ)に見えたような?
体験の価値アリ。
登山博文《左と右》 |
登山の3点のうちの1点。「もの」を使った大掛かりな作品が多い中、絵筆一本で大きなカンバスに向かう登山の作品は新鮮に映る。
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三沢厚彦+豊嶋秀樹《Animals and the Mountain》 |
三沢厚彦+豊嶋秀樹 《Animals and the Mountain》 |
都市の中に出現した「白い山」。道なりに歩いて行くと多くの動物に出会い、次はどんな動物が出てくるのかドキドキする。
そして最後には、ペガサスがいる場所にたどり着く。このストーリー性のあるピクニック体験は手放しで楽しい。
三沢が彫りだす動物たちは、等身大。仏像彫刻にみられる「なた彫り」という、表面に丸鑿(のみ)の跡を残す技法は、三沢の労働の痕跡を見せる。そしてその純粋な労働は、木の塊が宿す精霊めいた一筋のエネルギーを動物たちの愛くるしさという形で立ち上がらせる。
そうした三沢の作品を豊嶋がどう見せているのか、見所の一つだ。
豊嶋の空間設計を、内からも外からもしっかり眺めてほしい。
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