toppeople[タン・カイ・シン、3年間の軌跡]
2002年の来日から3年間、
日本のメディアアート界に大きな風を吹かせ、
今年6月に母国シンガポールへ帰っていった、
タン・カイ・シンの活動を振り返る。
タン・カイ・シンさん
タン・カイ・シン、3年間の軌跡

「島伝いに移動しながら 冬2005年編」
インスタレーション 2005年1月東京
素材:7つのスクリーン+45本の映像+資料+地図など
<+zoom>

島伝いに移動しながら



疑問形で始まる、疑問形で終わる。


島伝いに移動しながら

私がタン・カイ・シン(Kai Syng TAN、以下カイさん)のことを知ったのは、2003年の夏の終わり頃、本当に個人的なことからであった。
以来、カイさんのことが気になっていた。
ようやく作品を見ることが出来たのは、その年の終わりごろだった。
ビデオアートセンター東京のプログラムにて。)

カイさんは、武蔵野美術大学の大学院でビデオアートを学ぶため、日本に来ていた。
出身地のシンガポールでは優秀な成績を修め、ロンドンやシカゴに留学をしていた才女である。
どこで日本語を学んだのか知らないが、その言語能力には私は驚いた。
彼女の作品には押しつぶされそうになるくらい圧倒的な、日本語のテキストが出てくるからだ。

《島伝いに移動しながら》と名づけられた日本での作品群は、シンガポール、ロンドン、日本といった島国で過ごしてきた彼女の思想や考え方が反映されている。
思えば「島」という場所では、何もかにもが限定的であり、アメリカやヨーロッパのように“隣国”という感覚も持ち合わせていない。
カイさんは、そういった「島」で、生まれてから30歳になる今年まで過ごしてきた。
特に日本では、カイさん自身が住んでいた「本州」だけでなく、礼文・利尻島、沖縄、桜島などを旅することで、より「島」について考えていった。
独特の文化を持つ「島」、発電所や遊園地、保養施設など特別な意味だけを持つ「島」、異国の人たちが降り立った「島」など。
また自国シンガポールは、島国日本に占領され「昭南島」と呼ばれていた過去を持つ「島」だ。

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タン・カイ・シン(Kai Syng TAN)

1975   シンガポール生まれ
1993   シンガポールUOB絵画優秀賞(もっとも将来性のある新人アーティストに選ばれる)
1999   サンフランシスコ国際映画祭ゴールデン・ゲート賞実験映画部門功積賞を受賞
国立芸術協議会奨学金で、ロンドン大学スレイド校(首席で卒業)およびシカゴ芸術学院で美術を専攻。
2003   武蔵野美術大学大学院造形研究科デザイン専攻映像コース入学
2005   武蔵野美術大学大学院造形研究科デザイン専攻映像コース卒業

展覧会
1993   第12回UOB(Painting of the Year)(シンガポール)
1997   イギリス短編映画祭(イギリス)
1999   第42回サンフランシスコ国際映画祭(アメリカ)にてゴールデン・ゲート賞実験映画部門功積賞を受賞
国立芸術協議会奨学金で、ロンドン大学スレイド校(首席で卒業)およびシカゴ芸術学院で美術を専攻
第21回シェル・ディスカバリーアート展(シンガポール)
2000   福岡アジア美術館に出品 パブリックコレクション(福岡)
Video Take(ベルギー・ブリュッセル)
2001   ベルリン国際メディアアートフェスティバル(ドイツ)
シンガポールアートフェスティバル(シンガポール)
山形国際ドキュメンタリー映画祭(山形)
「Shot in the Fase」Earl Lu Gallery(シンガポール)
「Nokia Singapore Arts 2001」シンガポール美術館(シンガポール)
2002   「60s NOW!」シンガポール美術館
「Shot in the Fase」Earl Lu Gallery(シンガポール)
「POST-FICTION! "Yamagata in Tokyo" Festival」東中野BOX(東京)
「アジアドキュメンタリーフェスティバル」パルテノン多摩(東京)
「Yamagata in Kansai Festival」(大阪・京都)
「A mixer-European Asian collaborative」ポンピドゥーセンター(パリ)
2003   「President's Young Talents Exhibition」シンガポール美術館(シンガポール)
「6th International Exhibition of Sculpture & Installations in Venice」 (イタリア)
「Dying For...」ビデオ・パフォーマンス アップリンクギャラリー(東京)
2004   個展「ISLANDHOPPING / 島伝いに移動しながら」ギャラリーサージ(東京)
「Cineboards 2004」(オランダ・ロッテルダム)
2005   「Fantastic Asia」(韓国・ソウル)
7月7日 愛知芸術センター「アジアの実験映像 Part2」にて上映予定
9月〜11月 ドイツ・ベルリンThe House of World Culturesにて「Spaces and Shadows 」展にて上映予定

 

 

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