toppeople[大崎のぶゆきインタビュー]
大崎のぶゆきインタビュー
water drawing-stardust 0802-(部分)/ 2007 映像8 分(ループ)


関西から愛知へ

藤田
ところで、PEELERは地方で活動をするアーティストに焦点を当てたい、という趣旨です。
大崎さんは大阪出身で、2年前まで愛知へ引っ越されるまで、大学時代を含め京都でしたよね。
関西、愛知、どうですか?
いま大学で教えていらっしゃいますけど、場所によって学生の気質って違いますか?

大崎
京都では版画を教えていました。
愛知では油画専攻で教えています。
学生は・・・正直、全然違いますね。


藤田
なにが?

大崎
僕が学生だったときはまだそういう感じはしなかったんですけど、明らかにいまの京芸の学生って、完全に外を見ているし、ねらって制作をしています。
逆に愛知芸大の学生はのんびりしてます。
どっちも両極端な感じかな。


藤田
3、4年前に「京芸ブーム」というか、京都市立芸術大学出身のアーティストがもてはやされた時代ってありましたよね。
東京に住んでいる私からすれば、まず「東京VS関西」みたいな構図があって、メディアもギャラリーも多くは東京にあって、関西のアーティストや作品を東京に持ってくると「新鮮だね」という取り上げられ方をしただけのように見えるんですよ。

大崎
実際、僕が出た京都市立芸術大学の出身者はえらい人が多いんですよ(笑)。
森村泰昌しかり、ヤノベケンジしかり、やなぎみわしかり、年齢を超えて同窓生ということでネットワークも強いんですね。
油絵とか彫刻を専攻していた子は、学生時代から仲間意識も強く、刺激もお互いあったみたいですし。
版画を専攻していた僕は「どうせ版画やろ」って感じだったので、正直言ってピン芸人でした。
そうは言っても、戦略的なだけ、ネットワークだけ、っていう人たちは忘れられるだろうし。
ないよりある方がいいに決まってると思いますが・・・。


藤田
ピン芸人でやってきて、名古屋に来たら、また作品の傾向とか変わってくるかもしれないですね。

大崎
変わるかもしれないですね。
でも名古屋ってキライとかじゃないんですが、まだ違和感があるかも。
関西だと、ギャラリーに集まる人たちが「●●くんの友達?」「知ってるわ」みたいに、つながっていくのですが、名古屋ではあんまりないんです。


藤田
たしかに名古屋は、出身大学や発表するギャラリーでグループがかたまってますよね。

大崎
その傾向はありますよね。


藤田
でもピン芸人なのに関西から出てきちゃった?

大崎
ピン芸人だから関西から出てきたんですよ(笑)。
関西で完全にコミュニティにいたら、出て来れなかっただろうし。


藤田
関西へのこだわりはなかった?

大崎
ないですね。
だけど僕は大阪人だし、京都で10年くらい住んで、関西はすごい好きなんです。
関西にいたときに、海外で生活をしてみたかった、アーティストとしてやっていくなら海外に行かなければ、という気持ちが僕の中にあったんです。
それでドイツにレジデンスへ行かせてもらったのですが、「海外に行こうが、日本のどこにいても一緒」、「住んでいる場所はどこでもいい」と思ったのです。
だって、海外に行ってもダメな人はダメだし、がんばってる人はどこでもがんばっているんですから。


藤田
海外だからといって、みんなキラキラ一生懸命制作していた、じゃなかった?

大崎
そう、海外に妄想を抱きすぎてたんです、当たり前なんですけど。
当たり前のことを「そうなんだ」と分かったことで、楽になりました。
逆にフットワークが軽くなりましたね、住む場所もどこでもいいし。
関西や名古屋の子が東京に行ったからといって、第一線で活躍しているとは限らない、どこにいても一緒と思っています。
思っているものを今のいる場所でつくれるか、ものが作れる思考回路にしたいと思っている、だからここ(愛知)にいるんだと思います。


藤田
そうですね、東京出身とか東京の美大や芸大に行ったからといって、いま第一線で活躍しているとは限りませんから。
でもぜひ春休みやゴールデンウィークを使って、東京にも来てください(笑)。
今日はどうもありがとうございました。
 
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