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本間純インタビュー
地域と表現
Jun Honma Interview

PEELERを始めて4年め、私はまだ初心を問い続けている。
それは、東京以外の日本で制作や発表をする作家を追っているか、ということだ。
単なる欲求からではなく、彼らの作品の記録、思考の記録を
していきたいという思いで、私は日々動いている。
表層的な意味ではなく、東京中心のメディアでは知られることのない彼らの生きざまを、共有したり、広めたり、残したい、と思ったから、私はPEELERを立ち上げたつもりだ。
そして今回この時期に「本間純にインタビューをしたい」と
思ったのは、3月1日まで個展をしているというDMをもらったからでも、
横浜で久しぶりに見かけたからでもない。
本間を通じて、東京と東京以外の日本で制作や発表する意味を
知ることができそうだ、と思ったからだ。

INTERVIEWER 藤田千彩
 
「そして川は流れる」And the river flows 旭橋、テント生 地 黄金町バザール 2008  photo-S.Anzai 


  「森」grove 使い古しの鉛筆、木、耐雪ガレージ、ガラス
Pencil-stubs,Wood,Garage,Glass 2500×5000×H. 3000mm 
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2000 photo-
S.Anzai

 
  「Melting Wall」水、ガラス、鉄、プールWater, Glass, Steel, Pool 3100×3100×H.4000mm  プール - 5m×20m
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2003 photo-S.Anzai

 
  「しずく」Drops  水、アルミ、木、FRP、Water, Alminium, wood, FRP プール - 4900×3150×H.300mm
大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2006 photo-H.Kuratani

越後妻有トリエンナーレと黄金町バザールとAOBA+ARTの場合

藤田
どうやら去年、日本各地で150だか160だかのアートイベントとかアートプロジェクトが行われたらしいんですね。
それが東京にいると、あるいは東京中心のメディアを通じてだけだと、そんなの知らないし、伝わってこない。
ここは横浜の黄金町ですが、「横浜トリエンナーレ」と同時期に「黄金町バザール」が開かれていたことは知られている。
だけれども、「横浜トリエンナーレ」が終わって、じゃあ横浜何してるの?という話になったとき、「黄金町バザール」がまだ続いているということなんて知らないし、東京と近いけど横浜は東京からすると一地方で、銀座だの表参道だのといった場所みたいにふらっと行かないし、行ったところで展覧会をやってるかあやしい場所なわけです。
かたや今年は「越後妻有トリエンナーレ」があって、それはもう「いつ行く?」みたいな話を既にしてて、地方といえども行く気マンマンだったりする。
その差はなんだろうって、地方でアートをしている意味ってなんだろう、と私は鑑賞者の立場で考えてしまって。
そこで本間さんは、銀座とか東京のギャラリーで展示もしているし、「黄金町バザール」も「越後妻有トリエンナーレ」も出しているし、つくり手としていろいろな場所に出しているから、話が聞けるかなと思ったんです。

本間
僕はこれまで「越後妻有トリエンナーレ」に3回出しています。
自分が東京のギャラリーで発表しているだけでは感じなかったこと、その場所に行ってその状況の中で作品をつくるというのは、いろんな人との協働する面白さもあったんです。
「黄金町バザール」も参加するにあたって、きっとそのような経験が出来るだろうなと思いました。

藤田
越後妻有と黄金町では、単純に田舎と都会という違い、制作する感覚も違うのではないですか。

本間
そうですね。
それと黄金町バザールと同時期に、僕はAOBA+ARTというプロジェクトにもディレクターとして関わっていました。


藤田
「AOBA+ART」はどういったものだったんですか。

本間
横浜市が横浜の郊外で開催した、既存の展覧会に新しいプロジェクトを加えて立ちあげたアートイベントのうちの一つです。
青葉区美しが丘の住宅地の中で、個人住宅の庭や自治会館などを展示スペースとした、かなりプライベートな空間に入り込んだ展覧会でした。
僕自身青葉区にすんでいることもあり、いろいろ会議をやったり、他のアーティストも僕が声を掛けているうちに、その中でアーティストのリーダーが必要だろうということで、結局僕がディレクターになったんですね。


藤田
それが去年の秋くらいの話ですよね?

本間
そうです、黄金町バザールと同時にやってたんです。
場所の雰囲気ってありますよね。
横浜アートサイトの会場だった横浜市青葉区は、人が住んでいる、いわゆる新興住宅地。
同じ横浜市だけれども、黄金町は青葉区とは違った、もっとハードでいろんな問題を抱えている場所だった。
僕はどちらも「場所」に魅かれて、展示をしたんです。
もちろんこれまで東京のギャラリーでも展示していて、ギャラリーはいわゆるホワイトキューブとか、それなりのシチュエーションがあるわけだし、越後妻有は自然や里山という場所だし、とそれぞれの「場所」に興味を持って展示しています。

 
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本間純(ほんまじゅん)
1967   東京都生まれ
1990   多摩美術大学立体デザイン科卒業

主な展覧会
2000   大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(‘03、‘06)
2003   新世代への視点・テン エレメンツ(銀座京橋10画廊)
2004   A MUSE LAND 2004(北海道立近代美術館)
2007   breeze(ギャラリーキャプション)
Happy Hours(ZAIM underground)
2008   AOBA+ART(横浜市)、黄金町バザール(横浜市)など。

本間純さん 

 



 

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