ベルリンアート便り 第5回
tesla(テスラ)
アート・ラボラトリー
テスラは、ベルリンのランドマークであるテレビ塔近くに位置する。
サウンド・アートを専門とするキュレーター、メディア研究者らによって2004年に設立され、メディア・アートを核に、ライブ、パフォーマンス、展覧会、プレゼンテーション、ディスカッション、ワークショップ、レジデンスを行っている。彼らの目指すところは、メディア・アートのためのラボラトリー(研究所)である。アートと科学、新旧、アナログ/デジタルメディアの関係を探求し、創造のプロセスを重視した研究と実践を行なっていく。
彼らの作り出すラボラトリーのかたちを各プログラムに見てみよう。
まず、「ク―ブス」は、サウンド・アートやマルチメディア・インスタレーションなどの作品展示やパフォーマンスを行なう発表の場である。最近では、リンツで活動するメディア・アート団体との共同企画が行なわれた。このプログラムのみ有料で、他は全て無料で行なわれている。
「テスラサロン」では、アーティスト、キュレーター、研究者らが自身の活動や現在行っているプロジェクトについてプレゼンテーションをする。本のプレゼン、映像上映、ディスカッションもあり、内容は、アートとナレーション、中央アジアの作家の作品上映、初期の電子楽器について、1950年代にクリミアで作られた前衛映画についてなど、多岐にわたる。
そして、「プロジェクト・レジデンシー」と「オープンスタジオ」は、メディア系アーティストを対象としたレジデンス・プログラムだ。関係各所から推薦されて滞在するアーティスト、ディレクターがピックアップしたアーティストらが1-3ヶ月の短期滞在する。彼らは、上述のサロンで制作中の作品の途中経過を報告したり、スタジオでの展示も行う。
「ラジオテスラ」は、ラジオをメディアとしての側面、芸術的な側面から検証するレクチャーシリーズだ。ラジオの未来、音のフィールド、言語、労働などひと月ごとにテーマを決め、プレゼンテーションやレクチャーを行なう。
「ワークショップ」では、アーティストや研究者を対象としたワークショップを行なっている。アートの領域で使用されるフリーのソフトウェアの指導、テルミンなどセンサー技術の解説、インターフェースに関するものなどである。
テスラでは、展示やパフォーマンスがメインの「イベント」とは位置づけられていない。作品やモノだけではなく、対話を通して制作過程や背景をも同時に共有できるようレクチャーやトーク、オープンスタジオが設定されていることに気づく。「ラジオテスラ」を担当するモーリッツ・フォン・ラパードさんに話を聞いた。
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「クーブス」会場。この日はハンス・ペーター・クーンのパフォーマンスが行なわれた。
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「クーブス」でのインスタレーション
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「テスラサロン」風景。中央アジアの映像作家の作品紹介
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「オープンスタジオ」風景
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