CAPHOUSEへ初めて行った。
神戸・元町駅から山方向へ上っていって、15分くらい。
神戸移住センターというのが前身らしく、なんとなく横浜のZAIMみたいな建物だった。
古さの問題かもしれない、廃校になった小学校のようでもある。
池田朗子作品との再会は、2年以上ぶりだった。
先月の「アートの近所」で、池田本人が写っている、飛行機が上から吊られた作品写真に私は魅かれていた。
オルガーデンというスウェーデンのレジデンスと、このCAPHOUSEが似ているから展示会場として選んだ、と池田は言う。
私はオルガーデンのことは知らないが、CAPHOUSE、とくに池田が使っていた海側のギャラリーから見える青空はまぶしくて、本当に飛行機が飛んでいるかのように感じていた。
飛行機は、クッキー型のような型紙をもとに、一枚ずつ作ったそうだ。
オルガーデンにあったもの(先月の「アートの近所」の扉画像になっているもの)と同じものを持ってきたようだが、まったく同じような展示方法ではない。
オルガーデンでは飛行機を上から糸で吊っているだけだったが、CAPHOUSEでは天井と床に張られた糸の間に飛行機が配置されている。
飛行機は「止まっている」というわけでもないだろうが私が見に行った初日のお昼ごろは、残暑厳しく、風もあまりない状態。
飛行機と景色・・・私はとっさに池田の「サイト・サイト・サイト」を思い出した。
旅の風景が写った飛行機は、旅の思い出を連れて行ってくれる飛行機でもある。
私自身は行ったことがないオルガーデンの風景、色を、飛行機越しに目にすると、本当は行ったことがあるかのような気になってしまう。
かなりの複数形で、浮遊した形として見ていると、ないはずの記憶を手探りでたどっているような感覚に陥ってしまう。
小学校の教室くらいの、けして広くはないスペースを出たとき、私の目には池田と同じ旅の景色が焼きついていて、
CAPHOUSEの廊下が日本のなつかしい場所に出たと錯覚するくらいだった。
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