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さわって楽しむ現代美術展

11人の先輩たちから〜愛の表現として
TEXT 友利香

今や、各地の美術館では付きものの「こどもプログラム」。
プログラムや作品にまっしぐらに突き進む子どもたちを見かけると、大人である自分の先天的感性を試されているみたいで戸惑ってしまいませんか?
今回は「子ども美術館」で、いよいよ私もこどもたちとの感性対決!
さあ、そこの大人たちも迷わずダイブ!!

入り口では、古代遺跡が出迎える。
作品の表面には今を代表する企業名が見える。
また出土品は、ウルトラマン・携帯電話・たまごっち・・など私たちのなじみのもの。
これは2000年後発掘された遺跡である。
41世紀の未来に人間はいるのだろうか。
これらはどんな生物によって発見されるのだろうか?
この緊張とドキドキ感が、探検・冒険の始まりを知らせる♪
《Planet Circle》《出現U.40040917》/柴川敏之
遺跡を通り抜けた余韻が残り、お賽銭感覚で玉を投げ込む。
呪術的、儀式的な音が!?
《はじまり はじまり》/荒木珠奈

山下工美と木村崇人は、光を使った作品だが、山下は、美しく切り取られた光を見せ、木村は、光を使ったマジックを披露する。
虫眼鏡にはハート型で切り抜かれた紙が貼ってあるが、映し出された光は星型。
なぜ??なぜなの??
《扉》/山下工美
下左《木もれ陽ライト》/木村崇人下右《木村公平傘》/木村崇人
どーんと身を投げ出すと、どっしり受け止めてくれる『ぞうきん象』。
開放感・安堵感・・・ただ温かく抱きとめるだけの無償の愛で満たされる。
《ぞうきんぞう》/磯崎道佳
壁には《ニョロさん》/が進む順路を暗示する。
気持ちのベクトルも「前へ前へ」
《ニョロさん》/関野宏子
「人生の大海の中での自分の位置と進むべき方角を知ろう」ということなのだが、子どもは、お構いなしに、どんどん紙の筒とゴムを組み立てていく。
組みたてている本人には全体の形がわからないので、やり過ぎて通路が閉鎖状態になってしまったことがあるとか。
これは、人生だ!
《海図ブロック》/マスダマキコ
いずれも中に入る作品。ランボルギーニの中にはもちろんハンドルがある。
ハンドルを回すと腕が動くの?(当日は調子が悪かった)
三日月カプセルの中で寝転ぶ。透けてくる光の模様で宇宙に漂っている気分になる。
《ランボルギーニタチバナ》/橘宣行手前《NewMoon》/岩野勝人
ウレタンフォームを丁寧に手でちぎってできあがった大きなかたち!
動かしたり乗ったりして、感触を楽しむ。
《柔らかなかたち》/杉浦隆夫
外庭風景。
手前にはヤン・テークンの《夢》
後ろには岩野勝人の《ダークムーン》が見える。
カバーは、ニョロさんと同じ素材フェルト。
今日の熱を優しく包み込んでくれる。「おやすみ。。ニョロさん。。ZZzzzz・・」
《展覧会カタログ》

このように、知識や感性を強要されることなく、こども自らが作品を楽しむことで日常を発見する・想像する・協働する・創造するといった「生活の素地作り」の場へと仕上がっている。
この自発的行為の達成感・満足感は、こどもたちを次のステップへとつないでくれるだろう。
(たとえば、知識獲得への意欲、自身の内面との対峙など。)
種をまくには、まず「素地作り」から。
その素地の元になるのは、人や動物や自然現象やすべてを含めた身近なものへの愛であることに、大人も子どもも気付いたはず。
なぜならこの展覧会は、地球に暮らす先輩(作家)たちから、後輩たちへの愛の表現なのだから。



さわって楽しむ現代美術展

浜田市世界こども美術館(島根県浜田市)
2006年4月15日(土)−6月18日(日)
 
著者プロフィールや、近況など。

友利香(ともとしかおり)

国民文化祭やまぐち2006彫刻展:出品作家・荒蒔綾子さん(滋賀県)の『宇部 COLORFUL SHEEP プロジェクト』が。始まります!
さすが彫刻の街!今度は「羊と楽しむ彫刻」ですからね。
どんな作品になるのでしょう??
本格的な制作開始は7月22日からですが
時々コチラの「羊ブログ」をチェックしてくださいね!
   ↓
http://colorfulsheepube.blog70.fc2.com/

宇部の彫刻(山口県宇部市)
http://www.city.ube.yamaguchi.jp/choukoku



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