toppeople[安冨洋貴インタビュー]
安冨洋貴インタビュー


《夜は、まるで》Courtesy imura art gallery

《それでも、夜は続く》Courtesy imura art gallery

《明けぬ夜》Courtesy imura art gallery

夜を描く 夜に描く


安冨
昼間は、社会人には会社があったり、学生だったら学校があったり、専業主婦も悩みとか家庭の仕事とか、ありますよね。
僕が制作とか社会の中に生きていて特に思うことは、皆、他者との関わりの中で決められた「各自の役割」を完遂することを求められている。
暗にプレッシャーを感じながら生きていかなくてはならない、ということを小さい頃から思っていまして。

藤田
え?

安冨
幼稚園のころとかも愛想笑いをしなくてはならなかったり、つくり笑いをしなくてはならなかったり。
グループの中では、自分のやりたい欲求を出しすぎちゃいけないということを、すごく思ってまして。
何でもない時でも、憂いや不安をおぼえていました。

藤田
そんなの記憶しているんですか?
いじめられてた、とかじゃなくて?

安冨
そういうんじゃなくて(笑)。
僕だけがそういうんじゃなくて、僕には誰しもがそう見えてました。
社会性を身につける一方で、本音が心の中に鬱積されていく、公(おおやけ)っていう仮面をかぶって人と接するものなんだ、という気持ちを小さいころから持っていました。

藤田
えええっ!はい、それで。

安冨
それで特に現在のように社会が高度になって人間関係が複雑になればなるほど、こうした傾向が強くなっていく。
その中で、周囲に対応できなくて、鬱屈した気持ちが蓄積していって、猟奇的な事件とかいろんな病いといったかたちで現れてきているんじゃないかな、と思うんです。
こういったことは、先ほど人間関係は複雑になってきているといいましたけれども、わりと昔からあったと思うんです。
そして太古の昔から人は押さえつけられた精神の開放を、夜に求めていったのではないか、と思います。

藤田
ふむふむ。

安冨
たとえば「宴」とか「秘めごと」とか、夜に行われていて、日中とは違っていて、僕たちの精神を開放してくれます。
いま24時間のスーパーとかあって、昼夜のさかいも昔ほどなくなってきてるとは思うのですが、そういったことは相変わらず夜に行われている。
文明によって昼夜がゆがめられているにも関わらず、こういうふうに、夜は人を落ち着かせる。
こわばっていた心の扉を融解させるような、かなり強い魅力とか魔力というものが夜にはあるんじゃないのかな、と思いまして。
それと、僕自身が、例えば昼に学校から帰ってきて、家族が集まる夜が来るのをずっと待っていた、夜はすごく楽しくて、安心できて、落ち着けて、頼るべき対象だったんです。
僕の作品の通底に流れているものは「拠り所を残しておきたい」という想い。
不安をもって生きているからそれだけに安心とか拠り所というのを、ずっと残しておきたい、とどめておきたいと思います。


藤田
夜に制作をしてるんですか?

安冨
夜だけ、っていうことではなく、昼間も制作しています。
遮光カーテンをして蛍光灯をともしています。


藤田
意外と暗いほうが好きでしょう?

安冨
全部さらされると、丸裸にされてるみたいで、落ち着かないですね(笑)。


藤田
アトリエも広くないと、大きい紙広げられなくないですか?でかっ!!と思いましたけど。

安冨
アトリエはだいたい6畳くらいです。
大作でも1枚のパネルに描いているわけではなくて、パネル4枚に分割されています。
半分とか、ここまで描いたら次はここまで連結させて、というように制作しています。
一番大きくても一度につなげて描くのは、2mくらいの幅になります。
 
前のページへ 12345 次のページへ
 



 

topnewsreviewscolumnspeoplespecialarchivewhat's PEELERwritersnewslettermail

Copyright (C) PEELER. All Rights Reserved.