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佐藤時啓インタビュー

山口カメラ君
<+zoom>

路地とか町並みに「路地感」があるっていうのかな?そういう山口市の空間をどうやって記録できるかを常に考えていました



山口のカメラは「山口カメラ君」って言うんだけど(笑)。向こうで作ったのは「東京カメラ君」っていうんだよね



  “pin-holes project in Yamaguchi” 針穴図像 −光の間−展示風景

友利
同じ構造のカメラを使って、今年東京で個展(2005年1月18日-2月5日、ギャラリーGAN)をされましたね。


佐藤 
東京では、360°を24個のピンホ−ルカメラの一個一個が縦位置で球形につながるカメラをつくりました。山口では、それを八角柱の寸法にあわせて、横位置でつながるように制作して撮影しています。だから八角形で囲むような展示になるわけです。
山口のカメラは「山口カメラ君」って言うんだけど(笑)。向こうで作ったのは「東京カメラ君」っていうんだよね。
やはり、みんなで撮影すると楽しいな、っていうのが一番大きな違いですよね。
山口カメラ君には、ピンホールが1列に8個、それが3段あるから、一段ずつ「せ〜の〜」で、みんなでキャップを取って撮影するのね。そりゃあもう、単純にすごく気持ちいい。一人で撮影したときの喜びは一つだけど、みんなで撮影するとみんなで喜べるじゃない。喜びがたくさんあるでしょ。一人で集中して作るのもいいんだけど、ストイックな限界を感じながらやならきゃいけない。
もちろん、それを否定するつもりはないんだけど。

友利
まあ、コラボレーションと言っても、作家のサインは消えるわけじゃないというか・・・。


佐藤 
コミュニケーション系の作家って多いんだけど、コトだけで終わってしまうことが多くて、もったいないない気がしますね。幸い写真ではコトが形になる。それは写真が持ってる形式の有利なところかな。やってることの意味合いが写真的であろうと、彫刻的であろうと何であろうと、結果的に写真というものでしか残らないわけだし。

友利
元々、写真の作品を作られていた佐藤さんが、こういうプロジェクトという形になっていったのは、写真作品から、写真原理としてのカメラ装置へ遡行したのが大きかったのではないですか。図式的にいうと、作品からプロセスへ、主体から関係へのような・・・。


佐藤 
それはものすごくありますね。僕自身はやっぱりモノから始まっているのね。全くモノから。アトリエで制作することから始まっていて、それが何かの縁というか、きっかけで写真をするということになり、アトリエから外に出て撮影するようになってきました。
そして、写真が写る仕組みによって得られる光を、様々な形で体験したり人と人とが関係出来るような作品になってきたわけです。ワンダリングカメラプロジェクトや建物を使ったインスタレ−ションなどですね。

友利
今後のご予定は?


佐藤 
海外逃亡を図ります(笑)。3月末から12月までニューヨークに滞在して、向こうで制作三昧しようと思っています。
「光―呼吸」シリーズの制作と、最近のピンホールの制作、両方行う予定ですが。

友利
そこでのコラボレーション、人と場所との関係がどう関わってくるかは、具体的には行ってみてということですか。


佐藤 
そうですね。

友利
ありがとうございました。
そして2月11日・展覧会オープン。YCAM入ると、す〜っと心地よい「路地の風」を感じます。ああ…ここは山口…。佐藤さんとは2003年、宇部(第20回現代日本彫刻展)で初めてお目にかかり、その後、広島(表象都市metamorphosis広島)、2004年には長崎県の南有馬町(interdependenceーCのかたちー)で作品を見せていただきました。どこに行かれても、その地が持つ"気”を素早く感知、憎いほどうまく光の作品に仕上げ、展示もお見事。みなさん、ニューヨークのおみやげが楽しみですね。

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