toppeople[坂井淳二インタビュー]
坂井淳二インタビュー


《無題2》50x60cm lithograph 1994


イメージはどこから来るのか


藤田
当時はどのような作品をつくっていたのですか。

坂井
93年、大学3年のときの作品がこれです。

藤田
これは何をイメージしているのですか。

坂井
油絵で人とか顔とかを描いてましたが、本当は何を描いたらいいか分からない、という時期のものです。
版画をつくるにあたって、画面に線を引いて「どうやって形を埋めていこうか」と思ったとき、僕は自由になることに気付いたのです。
線を引いたり、色を塗るというのではなく、真四角の図を描いてそこに色や形を載せて行く、という手法です。
ビルや窓の形を見ているときに動かしている目線のようなものを表現したくて。

藤田
なるほど〜。


《Windows》 lithograph 90x12 1995

《Arcade》lithograph 90x120cm 1995

坂井
《Windows》や《Arcade》は、タイトルの通りですが、柱や梁を再構成したり、矩形で色を重ねながらシンプルに仕上げる、ということを目指していました。

藤田
色とか形を見ていると、抽象表現主義のようなものを感じますね。

坂井
はい、抽象表現主義が大好きだったのです。

藤田
いま奈良美智のような具体的なものが多いように、私たちが大学生だった90年代前半とか半ばって、絵具を塗ってある、盛ってあるみたいな抽象的な平面作品を展示しているところが多かったですしね。

坂井
例えば、京都では「マキシ・グラフィカ」と呼ばれる等身大の版画が流行していたり、1991年に僕が見た「大阪トリエンナーレ」という版画の展覧会では絵画と版画が競い合っているような、スケール感がある作品が並んでいて、僕は版画に対する考え方が変わりました。

藤田
坂井さんの作品の色は、ホックニーを思い出させますね。

坂井
ホックニーも大好きです。
でも色は真似してもできるものではなくて、自分の感性と同じような色づかいをしてしまうもの。

 
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