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佐原和人インタビュー

d
e
d.The City in Motion (noon) 2001
ミクストメディア
140×180mm (221枚)

e.The Wind in Motion 2002
綿布、アクリル彩色、木枠張り
140×180mm (239枚)
 


画廊とトーキョーワンダーサイトの出会い

佐原
それを見て、初めて反応があった、描いてよかったって。


藤田
そのときは水彩ですか?

佐原
油絵でしたね。アクリルも使ったし、コラージュやったり、網とか使ったり、ガリガリ削ったり、キャンバスに火をつけたり、とか。それで部屋の中がススだらけになって、テレビが映らなくなって、修理に来た電気屋さんに「ご近所で火事でもありましたか?」って言われたり(笑)。


藤田
それと同時に肉体労働のバイトをしてたんでしたよね?

佐原
マンションとか建築現場でパネルを運ぶとか、身体を使えるだけ使って、帰って絵を描くっていう生活でしたね。

藤田
大変ですね。疲れたりしないの?

佐原
僕は、筆をそーっと持ってるんで、筆圧かけるんじゃなくて、画面に触るか触らないかっていう、力かからないように描いていて。基本的に制作で体力を使わないんですよ。

藤田
なるほどね!それで?

佐原
柴田悦子画廊で展示を2回ほどしたんですけど、そこで「トーキョーワンダーウォール」が始まることを知ったんです。

藤田
トーキョーワンダーサイト」じゃなくて?

佐原
まだトーキョーワンダーサイトが出来る前の話で、トーキョーワンダーウォールがはじまったばかりだったんです。

藤田
それも通って?

佐原
0号の組み作品を持って行ったんです。それが通って東京都現代美術館で展示をしました(画像d)。
そのあと、トーキョーワンダーサイトが出来るというので、審査員の審査や面接を経て展示をすることになったのです。


藤田
私は去年末から今年初めまで、トーキョーワンダーサイトの記録本を作る仕事をしていたので、なんとなく知ってるつもりになってるんですけど。トーキョーワンダーサイトが出来たときの展覧会で、永岡大輔さんと出会ったのですね?

 
  佐原
そうなんです。それからトーキョーワンダーサイトで平面作品(画像=e)、壁画を描いたり(画像=f)やアニメーション作品(画像=g、h)を展示しています。永岡さんとは、トーキョーワンダーサイトの展覧会やイベントで、しょっちゅう一緒にやるようになったんです。

藤田
松本力さんもあわせて、3人で一緒になさってますもんね。大変なこととかありましたか?

佐原
永岡さんがイギリスに留学してるときに、遊びに行ったんですよ。僕にとって初めての海外で。AITのロジャー・マクドナルドさんの弟さんに連れて行ってもらったギャラリーで知り合ったアーティストと、次の日に見せてもらったアトリエでもばったり会ったことから、展覧会を一緒にしよう、と。日本に戻ってきて、お金をもらうための助成金申請をするために、初めて英語で書類を書いたんですよ。

藤田
そのために英語を!?すごいですね、受かったんですか?

佐原
そうです。最初に助成金申請をしたときは、展覧会の日とか決めてなかったのですが、3回目にして受かったんです。もう自腹覚悟だったからうれしかったです。

藤田
イギリスに行くのに自腹はきついですね!ちなみに当時は何のバイトを?

佐原
某運輸会社でした・・・。

藤田
ええええっ、本当にスゴイ(笑)。それでそのあとイギリスからアーティストを呼んだ
展覧会「Fuckin’Brilliant!! マジヤバい!」をしたんですよね?

佐原
そうです。それ以外も、本当にいろいろトーキョーワンダーサイトではお世話になってます。


f.《Visitors》 2005(〜常設)
壁面にハウスペイント彩色 東京都立駒沢オリンピック公園・第一陸橋橋脚

g.《Phantom Train (sheet no.195)》 2005
紙、アクリル・墨彩色、DVDに変換 DVD 約20分(3,136コマの原画)

h.《Phantom Train》 2005 綿布、アクリル彩色
2,100×1,575mm
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g
h
 
 
《東京八景 其の弐 / Eight Scenic Spots of Tokyo #2》 2008 和紙、アクリル彩色、木枠張り サイズ不同・全17点
左から順に
《申(さる) / West-southwest》 1303mm×970mm
《戌・甲乙(いぬ・こうおつ) / West-northwest/A》 220mm×273mm
《戌・丙丁(いぬ・へいてい) / West-northwest/B》 220mm×273mm
《戌・戊己(いぬ・ぼき) / West-northwest/C》 220mm×273mm
《戌・庚申(いぬ・こうしん) / West-northwest/D》 220mm×273mm
《戌・壬癸(いぬ・じんき) / West-northwest/E》 220mm×273mm
《乾・天(いぬい・てん) / Northwest/Top》 360mm×140mm
《乾・地(いぬい・ち) / Northwest/Bottom》 900mm×140mm
《子(ね) / Nort》h 1303mm×1620mm
《卯(う) / East》 1303mm×1940mm
《午(うま) / South》 1303mm×1620mm
《未・天(ひつじ・てん) / South-southwest/Top》 560mm×180mm
《未・地(ひつじ・ち) / South-southwest/Bottom》 700mm×180mm
《坤・上(ひつじさる・じょう) / Southwest/Top》 410mm×318mm
《坤・中(ひつじさる・ちゅう) / Southwest/Middle》 410mm×318mm
《坤・下(ひつじさる・げ) / Southwest/Bottom》 410mm×318mm
《酉(とり) / West》 1303mm×970mm
 
 
さらに飛躍する現在(いま)

 
  藤田
じゃ、話が飛んで(笑)、なぜ今回H.P.FRANCE WINDOW GALLERYで展示をすることに?

佐原
去年かな、今年に入ってかな、冬でしたが、とある場所でアパレルメーカーのH.P.FRANCEがやっている、H.P.FRANCE WINDOW GALLERYの担当の方に再会したんです。


藤田
出会いって大切なんですね。

佐原
数日後改めてお話をして、作品を展示するということになって。


藤田
ほお。店舗にあるショウウィンドウをギャラリーにしてて、ふつうこんな場所でするのは大変だと思うんだけど、この場所をテーマにした作品ですばらしいと思いました。作品とお客さんも出会う、そんな大切さにも気付かされます。今回は画面が大きいもの、小さいものを組み合わせてますよね?色がきれいです。

佐原
和紙にアクリルで描いてます。紙に水をたっぷりつける、「たらしこみ」という手法です。絵具の顔料が染み込んで行く、というよりは、時間をかけて沈殿して表面に残ることで、顔料本来の美しい色が出てくる感じでしょうか。紙も、キャンバスだと表面に凹凸があるんだけど、和紙だとそれが少ないんです。

藤田
和紙ですか。

佐原
鳥の子紙というのを使ってます。その紙って、実は父が使ってた紙なんです。父が使っているものを避けてて、画材屋さんにある画材は片っ端から使って試したのだけど、やっぱり一番いいんですよね(笑)。


藤田
アップルストア銀座のイベント、紙の上で水をちゃぽちゃぽしてる制作風景を見ましたよ!佐原さんってアニメーションも作ってるじゃないですか、何を描こうとしてるんだろうって不思議な感じがする・・・。

佐原
僕は知らないものは描けないので、知ってるものしか描いていないんです。あと気になったものや、大切なものしか、描けないんです。

藤田
気になったもの・・・ねぇ???

佐原
あるとき、僕「窓」がすごい気になってることに気付いたんですね。窓って「外」と「内」の境界(エッジ)であり、敷居などと同じ、だと。意識の境界を僕は探してたんだ、と。お寺などの聖域も「敷居を越える」ことで、自分の意識が変わるじゃないですか。それを僕は探してたんだ、と思ったんですね。

藤田
あれ?それって「棒高跳び」じゃないですか?

佐原
あ、越えてるんだ!!そっか、そういうことか!!バーを越えた瞬間と、敷居を越えることって、同じ「気持ちが切り替わる」ってことですね。

藤田
よかった、ちゃんと話が着地して。
ということで、展覧会場もH.P.FRANCE 「WINDOW」GALLERYですしね。
ぜひ、展示を見て、佐原さんの世界にひたってください。今日はどうもありがとうございました。
 
 
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