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大谷有花インタビュー

ウサギねずみの対話 Ver.3
Talk of Rabbit-Rats Ver.3
2003
Oil on canvas
27 x 22 cm (3号)
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キミドリの部屋  (YGR-12)
Yellowish Green Room
2003
Oil on canvas
227 x 182 cm (150号)
zoom

花のある風景
Landscape with Flowers
2005
Oil on canvas
50 x 60.5 cm (12号)
zoom

自分の中の他者との対話が、今回のテーマです。



自己の感覚からでたイメージが、どのような形態を望んでいるかを考えます。


藤田
言われてみれば、「無意識」というテーマは、今までの作品にも見え隠れしている気がします。
例えば、大谷さんの作品には「ウサギねずみ」というオリジナルの動物が出てきて、向かい合ってる《ウサギねずみの対話》という作品シリーズがありますね。あるいは、VOCA展に出されていた部屋の隅を描いた《キミドリの部屋》も、作り手である大谷さんの創造、見る側である観客の想像を作り出してきたと思います。


大谷
今回の「無意識との対話」から生み出された作品に現れているものは、「無意識のかたち」や「無意識の風景」なのかもしれませんし、無意識そのものでもなく、意識化された無意識でもない、「意識と無意識の境界域(=私のイメージとしては、国境を隔てる大河のようなもの)」といえるものなのかもしれません。

藤田
それって不思議な世界!
目にも見えないし、言葉にもできないけど、絵で表現すると、見えてきたり、説明できたりするのかもしれません。
ぜひ私も大谷さんの作品を見ながら、自分の心の中にある「無意識」と話をしてみたいと思います。
もしかしたら大谷さんの心の中にある「無意識」とつながってしまうかもしれないですけど!
今日はせっかくだから、そんな大谷さんにいろいろ質問をしてみようと思うのですが・・・。
大谷さんの作品を「都会的だ」という人もいます。
大谷さんは神奈川県相模原市という、東京近郊の住宅街の生まれで、そこでずっと今もお住まいですが、東京とか地方とかあるいは海外とか、場所って作家にとって影響あると思われますか?


大谷
その人の感覚の出やすい場所、制作しやすい場所というのは、あると思いますので、それをうまく生かして、絶えず創造できる環境(位置)に自分を置くということが作家として、大切なことだと思います。
基本的に、いろいろな場所で展覧会や制作をするのは、とてもよいことだと思います。

藤田
人間として、場所(環境)だけでなく、美大を出なくてはいけないとか、あるいは女性は越えなければならないハードル、最近は越えなくてもやっていけますが(笑)、結婚とか出産とかあるじゃないですか。
そういう人生における山とか谷とかって、作家にとって影響があると思いますか?


大谷
私は、美術大学に入りましたが、これは学歴を取得したいからということではなく、美大では、専門的な知識が学べるからです。
作家をめざすにあたり、あらゆる美術に関する専門的な知識(解剖学や心理学、色彩論から博物学、哲学、美術史などにいたるまで)を学べる環境にあることはとても大きいと思います。
だからといって必ずしも専門的な大学を出なければならないとも思いません。
美術大学を出たからといって作家になれるという保証はありませんし、実際に、作家として世の中に認められる存在になる人はごく少数です。

藤田
そうですよね。
美術家の中には、学歴も関係なく、年齢や性別も関係ない、だけど国際展などの活動をこなされている方も多くいらっしゃいます。


大谷
作家にとって必要なのは、自分の感覚に敏感でいられるかどうかと、常にそういう状況に自分を置けるかどうかだと思います。
そのうえで、必要であれば、学歴も結婚も出産も意味を持つのではないでしょうか。

藤田
なるほど!
この間も別の同年代の作家さんとしゃべっていて、「アーティストって言うと変わり者っぽく思われるし、小さい頃自分もそう思っていたが、実際はアーティストはちゃんと考えてるし、しっかりしていると思う」という会話をしました。
大谷さんも理性ある行動をしているというか、計画的に人生を考えているというか、大人の女性ですね。
絵画以外の活動、ってされないのですか?

大谷
制作活動のうえでは、絵画とかインスタレーションとかまずアートのジャンルを決め
るのではなく、自己の感覚からでたイメージが、どのような形態を望んでいるかを考えます。
そのイメージが、自然にジャンルも(表現のかたち)決めていくということです。
最近、趣味としてやってみたいと思っているのは、陶芸ですかね。
器とかに興味がありますし。

藤田
大谷さんの陶芸って、すごい柔らかい優しそうなものになりそう!
見てみたいですね。ぜひ、やってくださいよ!
今後はどういう活動をしていきたいですか?


大谷
個展は、これからも継続してやっていきたいですね。海外を含め、東京以外の場所でも、チャンスがあれば、積極的に発表したいと思っています。
また、一般の方々に、もっと気軽にアートに触れ、親しんでいただきたいと願っていますので、そのためには、アートに関わる者として、何をすべきかをよく考え、行動したいと思っています。

藤田
今回は貴重なお話をありがとうございました。
作品というキーワードによって、フィールドを広げ、また、社会ともつながりを求める、そんなスタンスはPEELERとしても私としても見習いたいところです。
これからも応援しています!
大谷有花 アートテラス
大谷有花 Daily Art Monologue
(日々、大谷さんの書き込みがあるブログです!)
で、大谷さんの作品や情報を見てくださいね。
今日はどうもありがとうございました。

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