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ベルリンアート便り
   
  彫刻工房内


ベルリンアート便り 第8回(最終回) 
BBK(ベルーフスフェアバント ビルデンダー キュンストラー)

芸術活動の拠点にしようと、世界各地からベルリンへやってくるアーティストは後を絶たない。
今回は、アーティストが暮らしていける街にしようと長年「縁の下の力持ち」として活動してきた組織を紹介する。

アートのインフラ整備を行う協同組合

 BBKは、1974年に設立されたアーティストの協同組合である。
協同組合とは、共通の目的のために集まった個人が組織を作り、民主的な運営方法で、自らが利用するための事業を中心に行なう相互扶助組織だ。
概して社会的に立場の弱いアーティストは、団結した行動を通してしかその利益を獲得することができないという状況を鑑み、BBKは自らをアーティストの弁護人、スポンサー、サービス提供者と定義してアーティストの利益を代表し、広範囲にわたる情報、アドバイス、サポートの形で様々なサービスをメンバーに提供する。
具体的には、専門家による社会保険相談、年金相談、税金相談、スタジオレンタルに関する法律相談、職業上の法律相談窓口などを開設し、アーティストとして生きていくための生活基盤を整えることができるようサポートしている。会費は年間100ユーロで、現在2000人の会員がいる。
組織の規模は拡大し、現在はアーティストの教育に関するプロジェクト行なう会社[BBK ビルドゥングスウ゛ェルク]、芸術活動に必要なインフラを整備する会社 [BBK クルチュールウ゛ェルク]も運営している。これらの組織は公的な援助を受けており、組合員でなくても利用が可能だ。

[BBKビルドゥングスウェルク]では、アーティストは技術を身につけると同時に、マーケットや美術史などに関する知識や、自身のプレゼンテーション技術も必要であるという見解のもと、アプリケーションソフトの使い方、ポートフォリオの作り方、プレゼンの仕方といった基本的な事項から、表現方法を広げる機会となる様々なワークショップの開催、美術の動向や展覧会のオーガナイズの仕方などをテーマにしたキュレーターや研究者によるレクチャーなどを有料で開催している。

[BBK クルチュールウェルク]では、彫刻、印刷/版画、メディアの工房運営、スタジオのあっせん事業を行なっている。工房はベルリン市民になれば、誰でも利用することが出来る(一週間60ユーロから。予約制)。工房には技術者も常駐しており、特に工場跡を利用した彫刻工房は目を見張るほどの設備の充実度である。
このスタジオあっせんプロジェクトのディレクターであるフローリアン・シュットル氏に話を聞いた。


BBK外観
版画工房は第二回で取り上げたキュンストラーハウス・ベタニエンと同じ建物の中にある
版画工房外観
 
 
 
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基本情報
名称:   bbk berlins e.V.
住所: Koethener strasse 44, 10963 Berlin,Germany
電話:   + 49 30 23 08 99 0
ウェブサイト:   http://www.bbk-berlin.de/

著者のプロフィールや、近況など。

木坂 葵(きさか あおい)

1978年生まれ。神戸大学文学部卒業。
在学中よりNPO法人大阪アーツアポリアにてコーディネーターとして勤務。その他、関西を中心に美術の裏方業務経験を積む。
2006年10月よりドイツ・ベルリンに滞在中。

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