topreviews[京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー /京都]
京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー

超すげぇコトが起きる予感!
−ドアの向こうで「未来」を作る

TEXT 藤田千彩

ある日、一通のメールが届いた。

 この6月より、ヤノベケンジがディレクターとなり
 京都造形芸術大学内に新設された“教育特殊機関”、その名も
 「ウルトラファクトリー」が、いよいよ始動いたします。

「ウルトラファクトリー」、初めて耳にする単語なのに、知っている響きのように聞こえた。
「ああ、ヤノベケンジのプロジェクトね、確かにヤノベさんらしい表現だ」というのが率直な感想。
6月4日に行われたキックオフミーティングには行けなかったが、その週末、私は京都造形芸術大学へ足を運んだ。

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私自身が美術大学を出ていないため、どこの美術大学に行っても驚くのがその設備だ。
今回の「ウルトラファクトリー」は、ヤノベさんのための建物、例えばテント張りの工場で金属音が響き渡る、というようなものを想像していた。
実際の京都造形芸術大学はどの建物名も漢字で付けられており、ウルトラファクトリーが入っているのは「至誠館」という名称だった。(画像a)
建築は隈研吾で、階段を昇ってエレベーターで下りるという不思議な構造のところにある。

 

ドアを開けるとダダーンっと広いスペース。(画像b)
この静寂さに、これから何かが起こる予感がした。

溶接に使うガスたち。こんなにボンベが小さく見えてしまう。(画像c)
旋盤の機械たち。物騒だが、本格的な機械を扱えるよう講習もするらしい。(画像d)
金属用ののこ。私の親指より太い刃がついている。(画像e)

私が行ったときにはまだ工事中だったが、塗装専用の部屋もあった。(画像f)

このスペースの端には事務室もあり(画像g)、ヤノベさんやウルトラファクトリー担当の藤井さんの机だけでなく、ヤノベさんが神社で祈祷してもらったお札も置いてある。(画像h)
そのお札、よくみると「家族100人」と書いてあったりして、なかなか面白い。(画像i)

ウルトラファクトリー担当の藤井さんによると、この施設は「学年や学科に特化することなく、一緒にやりたいと言う学生に開かれている」そうだ。
「このスペースだったら、車一台くらいは作れるでしょう」という話だが、一体ここは何をするの?これまで以上に大きいトらやんでも作るのか??
「いえいえ、ヤノベさんと学生が一緒になってまずはパパ・タラフマラの新作公演『ガリバー&スウィフト−作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法−』の舞台美術を作る」そうだ。
舞台芸術は総合芸術だと思っている私は、すごいうらやましいと思った。

帰りに「ジャイアントトらやん」に久々に会う。(画像j)
豊田市美術館で見て以来、ごぶさた。
ここでも火を噴いてほしいな、と思う。

大学という場は、何かを教わる場というより自分の意思で教えを乞う場だろう。
そう考えたとき、いろいろな人との出会い、一緒にすること、同じ目的を共有し、手や体を動かせるこんな場があることは素晴らしいしうらやましい。
これからどうなっていくのか、またレポートしたい。
(ちなみに「美術手帖」8月号(7月17日発売)でも藤田はウルトラファクトリーについて執筆しています!乞うご期待!)



京都造形芸術大学 ウルトラファクトリー
(京都府京都市)
 
著者プロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ。
大学卒業後、某通信会社に勤務、社内報などを手がけていた。
美学校トンチキアートクラス修了。
現在、「ぴあ」「週刊SPA!」「美術手帖」などでアートに関する文章を執筆中。
chisaichan@hotmail.com




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