topreviews[早川陽子 「小鳥の低空飛行」展/東京]
早川陽子 「小鳥の低空飛行」展

 
光と影と、反射と透過と
ガラス越しに見える世界

TEXT 藤田千彩

メガネのレンズのような、透明な円形のガラス。
そのガラスに木や鳥が描かれている。
ガラスには、直接、照明があたっている。
光はガラスを透過し、影となって、描かれた木や鳥が壁に映る。
木漏れ陽によって、影ができているときに似ている。

大きいガラス、小さいガラス、とサイズがいくつもあり、
きらり、と光を反射しているように見えるものもある。
冬には感じなかった、光の力を思い出す。
長かった冬のせいで、忘れていた春を思い出させる。

早川陽子の作品は、ガラスだけでなく実際は、ガラス越しの壁にも、鳥や木々の影がなぞらえて描いていた。
もし、このガラスを外したら。
それでも壁には景色が描かれ、私は早川が表現したい世界を、歩いている気持ちになるだろう。

改めて、私はガラス越しに世界を眺める。
窓から眺めた景色、というのとも違うけど、鳥のさえずり、木々のゆらぎを感じる。
帰りの多摩川沿いの道なりで、私は春の光を初めて感じた。


早川陽子 「小鳥の低空飛行」展

art&river bank(東京都大田区)
2007年3月3日〜17日
 
著者プロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ。
大学卒業後、某通信会社に勤務、社内報などを手がける。
美学校トンチキアートクラス修了。
現在、「ぴあ」「週刊SPA!」などでアートに関する文章を執筆中。
http://chisai-web.hp.infoseek.co.jp/




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