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Group Show [cool4]

心地よいかっこよさと気持ちよいオシャレっぷり
TEXT 藤田千彩

谷山恭子、中村ケンゴ、森本美絵、保井智貴。
アートシーンを引っ張る、30代の作家たちが名を連ねる展覧会が開催された。

いつもながら、森本美絵の写真は、独特の空気感を漂わせている。
いわゆる女の子写真の時代から、一歩進んだ優しい写真は、庭園や家といった海外の風景を切り取っている。
アートワーク以外にも写真家として活躍する森本だが、この一貫して持つ雰囲気で、作品の中に入り込んでしまう不思議さ。
今回並ぶ作品に各々の関連性はないが、見る者をどこか遠くへ引っ張って行ってくれる。

森本美絵《UNTITLD #1》、《UNTITLD 2》2006年

中村ケンゴの絵画は、「Re:」という文字が書かれている。
「Re:」は、メールの返信をするときにタイトルで付いてくるアレだ。
独り言ではない、誰かとのやりとりの上で成立する文字「Re:」。
誰かからの返事をする声であり、メッセージの冒頭部分であり、挨拶の前にある目くばせのような感じか。
会話のやりとりがなされると「Re:」は増えていく。
「Re:」を眺めながら、書かれているはずの本文を想像する。

中村ケンゴ《RE:》2002年

一見、ギャラリーではなくどこかのショップにいるような感覚にとらわれたのは、保井智貴の作品。
ハイヒールはあまりにも華奢で繊細。
彫刻と違い、細やかなスカートを身にまとった女性像。
漆や螺鈿といった素材で、ハイヒールと女性像を作っていたのだ。
異文化といってしまうのは時代遅れだが、和のものとオシャレを一緒にできる保井の力を見せ付けられた。

保井智貴《UNUSABLE (MULE)》2006年

谷山恭子の作品は、スチール板をプランターから伸びる植物の影の形に切り抜いて、しかも彼女らしいカラフルな色づかいで。
今までも空間をうまく利用した作品だな、と思っていたが、今回も自然にギャラリーに馴染んでいた。
黒い影しか見たことがないせいか、こんな色がついた影だったら、世界中がもっときれいな色に取り囲まれているに違いない。
当たり前を当たり前じゃなくすることで、「もし●●が××だったら?」という空想の世界へ導いてくれた。

谷山恭子《百合とバラ》2006、《プラント》2006年

Group Show [cool4]

Gallery 360°(東京都港区)
2006年6月1日〜24日
 
著者プロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ。
大学卒業後、某通信会社に勤務、社内報などを手がける。
美学校トンチキアートクラス修了。
現在、「ぴあ」「週刊SPA!」などでアートに関する文章を執筆中。
http://chisai-web.hp.infoseek.co.jp/



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