topreviews[北仲OPEN!/神奈川]
北仲OPEN!

111号室AANの棚。

あなたのアトリエ
おじゃまします!
TEXT 石山さやか

横浜トリエンナーレ会場からみなとみらい線で2駅。
馬車道駅のすぐ上、Bank ART 1929の向かいに、少しレトロなビル「北仲BRICK」と「北仲WHITE」があります。以前はオフィスビルだったこの二つの建物には、現在約50組の美術作家や建築家たちがアトリエとして入居中。普段は入れないこの場所が12月18日まで一般公開されているということで、遊びに行ってみました。
このオープンスタジオにはBRICKから3組、WHITEから35組のクリエイターが参加しています。今回私は4階建ての白いビル・WHITEの方に入ってみることに。公開されている部屋はドアが開いているか、ドアノブに「OPEN!」のタグがぶら下がっています。

始めに入ってみたのは111号室、AAN(Art Autonomy Network)という団体のお部屋。こちらでは全国のオルタナティブ(美術館や商業画廊とは異なるスペース・組織)をつなぎ、資料を収集する活動を行っています。壁全面に作りつけられた大きな棚にびっくり。ここに入っているフリーペーパーなどの資料は、オープンスタジオ中は自由に閲覧できるとのこと。全部見るにはどのくらい時間がかかるのでしょうか…。


304号室の林さんといとうさん。

 
 
次にお邪魔したのは304号室、平面作家・林華子さんのアトリエ。林さんはここで、同じく作家のいとうあやさんと共に作品を展示しています。部屋の中はじゅうたん敷きで居心地がよく、まるで友だちの家に遊びに来たような雰囲気。絵の雰囲気も和み系で、初対面なのについつい長居をしてしまいました。
彼女たちは北仲の入居者の中でも比較的若手。入居者の中には若干18歳!の斉藤涼さん(202号室)のような超若手もいれば曽谷朝江さん(403号室)のように美術館でばりばり発表している作家もいて、顔ぶれは様々です。
グループで活動している作家も多く、例えば404号室Poloniumは6人の作家6人の作家が共同で運営しているオルタナティブスペース。このときはメンバーの一人、山本浩生さんの作品を展示していました。鑑賞している間にも他のメンバーやメンバーの同級生たちがどんどん増えてきて、交流の場が展開されていました。

期間中は館内のあちらこちらで作品が展示されている。これはトイレに展示中の林さんの作品。

不思議な本屋さんエンカウンター。壁の絵はハマトリ作家の黒田晃弘さんのもの。
  建物の中を歩いていて感じたのは、大学の文化祭のような雰囲気。普段入れない作家のアトリエを見られるのはとても魅力的なことです。一方知らない人の家のドアをノックして入室するのは思いのほか難しく、また入ってみても既にコミュニティが形成されていて輪に入りづらかったり。しかしこれは、鑑賞者側の勇気の問題かも知れません。私は今回平面作家のアトリエ中心に巡ってみましたが、建築家のオフィスも多いので建築に興味がある人ならまた違う楽しみ方ができるでしょう。

一通り回ってきて最後にたどり着いたのは114/115号室ブックピックオーケストラの「エンカウンター」。ここは少し変わった本屋さんで、棚の中の本は全て紙袋に包まれているのです。客はその中から適当に包みを選び、本を気に入ったら購入、気に入らなかったら本の中から気になる一文を抜粋して本にはさみ、棚に戻すという仕組み。館内を巡って新たな出会いを探すように、ここで未だ見ぬ運命の本との出会いを探すのも面白いかも知れません。
北仲OPEN!

北仲 BRICK &北仲 WHITE
2005年11月18日(金)〜12月18日(日)

著者プロフィールや、近況など。

石山さやか(いしやまさやか)

1981年埼玉県生まれ
2003年創形美術学校卒
現在フリーター。イラストと文章少々書けます。
現代美術はまあまあ好きです。
406号室アーバン・サロンでも入居者の作品を展示。
 

topnewsreviewscolumnspeoplespecialarchivewhat's PEELERwritersnewslettermail

Copyright (C) 2005 PEELER. All Rights Reserved.