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家プロジェクト」は、本村地区にまとまっていた。過疎化、高齢化などで廃屋となった家を美術作品展示の場として活用したもの。「はいしゃ」、「碁会所」、「角屋」、「南寺」、「護王神社」など過去の名称の踏襲か。
須田悦弘の作品は「碁会所」に。左右の和室2部屋に設置。向かって左の部屋には畳の上に直接ツバキの花20点ほどが部屋の真ん中に置かれ、まるで主役。庭には花を暗示するようにツバキの木が1本植えられていた。右の部屋を見た。仕切りだけで“あれっ!何もない”。周囲をくまなく探したが何もない。係の人がこの仕切りをよく見てください、と。“あっ!そうか”竹の仕切りに見えるが、木で作った作品だった。発想が凄い。憎いほどだ。遊び心表現かもしれない。
宮島達男は「角屋」に。入ってすぐの部屋の中央は一段低くなっており、そこには水が張ってある。その中に赤、青、黄などのLEDデジタルカウンターがいくつも設置され、それぞれのスピードで数字が変化していた。うす暗い室内である。スピードの速いもの、遅いもの、島の人たちがスピードを設定したものだそうである。それぞれが自分自身の道を歩んでいるかのようだった。
タレルの作品は「南寺」に。中に入る。真っ暗で全く分からない。案内人の言うままに、壁に手をやりながら壁伝いに進んで部屋に入り座った。「光りが識別できたら立ちあがって光りの方に進んでください」である。時間が経ってだんだん分かってきた。光が少しずつ明るくなってくるからかと思っていたが、目が慣れて識別できるようになったからのようだ。立ち上がり光源に近づき確かめた。分かるようで分からない不思議な空間だった。
この他、古くなった「護王神社」は、杉本博司が再建を依頼され、新たに作り直した。千住博の作品は「石橋」に。見事な近作の風景画と有名な滝の絵。滝の下の床が光り輝き水面の様相を呈していた。

護王神社
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