topreviews[水都大阪2009/大阪]
水都大阪2009
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大阪のド真ん中でアート鑑賞しませんか

TEXT 藤田千彩

アートをつかった町おこしが、この夏も多く開かれている。
その多くは、美術館などの普段アート作品が置いてあるスペースではない、街のあちらこちらにアート作品を置き、観客がそれを見て回る、という形式だ。
大自然に囲まれた広大な田舎町を車で回る、という越後妻有アートトリエンナーレは、テレビや雑誌でこぞって取り上げられている。
この「水都大阪2009」は、大都会・大阪の街中に浮かぶ島(淀屋橋や中之島公園)を会場に、アートを中心にした参加型や鑑賞できるイベントだ。(画像=a)

水都大阪の会場へ行く前、まったく私ごとだが、風邪を引いたため薬局を探していた。
アートにほぼ触れない友達と一緒に、ビルとビルの合間を縫うように歩きながら「この辺りは会社ばかりだから、プライベートで来ない」という話をされ、交番に尋ねても薬局は見つからなかった。
いわゆるオフィス街、人の影さえ少ないエリアなんだなぁと思いながら、淀屋橋をわたった。(画像=b)

痛いのどを潤すために喫茶店を探し、大阪市役所に着いた。
ヤノベケンジの《ジャイアント・トらやん》がいた。(画像=c)
先日のYAHOOニュースで「トらやんてなんやねん」と書いてあった、アレである。
ヤノベさんもいたので、「どう見たらいいですか?」と聞いた。
市役所を抜けると大阪府立中之島図書館があり、そこにも自分の作品があると教えてくれた。
そして初日だが、新作の船《ラッキードラゴン》は走ることも、首を動かすこともない、とも言った。
図書館の小さな入口では、トらやんと写真(多くは写メ)を撮る人たちが行列になっていた。

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川に沿って歩くことにした。
「水辺の文化座」と名のついたエリアについた。
大きな魚、淀川テクニックの作品が夕陽を受けてキラキラと光っている。(画像=d)
展覧会を見に来たという感覚より、置いてある作品を眺めるという感覚になったため、たぶん作品キャプションもあるのだろうが、誰のなにという作品がよく分からない(分かろうとも思わない)。
ああキレイ、おもしろいね、というだけで十分である。
という感覚でいうなら、会場の道をゲートのように覆っていた作品(画像=e)は「キレイ」と思った。

ローズガーデンと呼ばれる場所(画像=f)は、やがてろうそくがついて、また別の顔を見せて素敵だった(画像=g)。

さっきヤノベさんが動かないといっていた《ラッキードラゴン》もいた。(画像=h)
その近くに本間純の作品も水面に浮かんであった。(画像=i)
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ワークショップも開かれていた。
座学形式のもの(画像=j)、開発好明のお茶室(画像=k)などが見受けられた。

写真がうまく撮れなかったが、影絵による紙芝居のようなものもガムランの生演奏とともに見ることが出来た(画像=l)。

こういう作品(?)が、自分のペースで歩きながら楽しむことが出来るのが「水都大阪2009」。
肩肘を張ったアート鑑賞というのでもなく、難しいと思われがちな現代美術の意識も吹き飛ぶ、お散歩感覚でアートを楽しめるところが新鮮だった。

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私が大阪の地理に疎いためか、初日に行ったせいか、情報が乏しかった。
とりあえず中之島公園辺りに行ったが、それ以外の展示を観客は見たのだろうか?
帰りしな、日本銀行大阪支店で河口龍夫の作品が展示されていた(画像=m)ことも、私はアート慣れしてるから近づくことが出来たが、多くの観客は遠巻きに見ていた。
やはりアートと市民に距離はあるのだろうか?
とはいえ、その面白みはちょっとでも伝わっているはず。
街中でアート、東京でもやってほしいなあ(笑)。


水都大阪2009(大阪府大阪市)
2009年8月22日〜10月12日


 
著者のプロフィールや、近況など。

藤田千彩(ふじたちさい)

1974年岡山県生まれ、東京都在住。
編集作業に命そそぐことにしました。
オシゴトください。→chisaichan@hotmail.com




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