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RYUZO三 EXHIBITION05 SELECCIONADOS VOL.1

自己ヲ直視スルコト
TEXT 友利香


『不滅の標』(ふめつのしるし)
舞台のヒトコマを思わせるポーズみたいでしょ。
次のポーズは、どんなんだあ〜!見、見たい!
裏側に、足が一本でてます。
『沈黙にたまる雨』(2005)

川埜龍三の仕事は、平面・立体・壁画と多彩である。
10年間、師につくことなく、独力で学んできたと言う。


『使者はさかさに』(2000)
『永遠』(1995)
&川埜さん
作品は営業中の店内に、無造作に置かれていた。
室内照明など演出のない展示は、作品を裸のまま見せている。
私は、10年一区切りではなく「今は途中、これから・・・」という彼の姿を感じた。

<沈黙にたまる雨>
人間の頭部の形をしているが、森の風景?宇宙?私には風景に見える。
私も霧雨の中にいるような気がしてくる。
その流れは眉の膨らみに溜まり、伏せがちのまぶたの線で加速し口元へと伝わる。
作品頭部の内部から突き出る強い角のようなものが、上方・後方へと視線を促し、閉鎖された感はない。
閉じたまぶたの奥から喉の奥への太い芯が下唇に力を加える。
彼が自身の内部を掘って掘って掘り下げて、空いた穴。そこに凍み込んでいく水を感じる。
濡れた肌の呼吸が体温を持つ。


『ohno title2』(1996)
イメージや言葉を浮かべて登場人物の性格を決めながら空想で作っている

「自分の中で何が起きているのか、何を求めているか」を、探ってる?
彼が言う「僕のリアル」には、到達したのか、しなかったのか。
しかし、掘り下げていった結果、今の彼が自覚できた「リアル」。
彼の奥底には、まだ気づいていない「リアル」が存在するのかもしれない、しないかもしれない。
それまでの距離は近いのかもしれない、遠いのかもしれない。

首を囲む王冠のような太い環。
顎から落ちる雨粒は、首と環の間の「空(くう)」に溜まるのか。
雨粒は内部へと染み込み、跳ねて飛び出し、
内部からも水が染み出ているような光景が見える。

沈黙は強い言語だと思っている。
それは、深く内包する静寂・意図的な静寂・今にもはちきれて噴出しそうな静寂など、さまざまな緊張を伴い、
祈り・解放・不安・悲しみ・困惑・疲れ・憤り・怯え・惨めさ・・・時には歓びなどの心情を、私に与えてきた。

彼の沈黙は、自己への信頼の実体として存在していた。


 

RYUZO三 EXHIBITION05 SELECCIONADOS VOL.1

洋服仕立屋テーラー・ロンドン店内
2005年8月16日〜11月28日
1階がお店になっていて、高級服地と作品が並べてあります。
洋服を注文されるお客さんは、展覧会開催中とは気づかない??


川埜龍三(かわのりゅうぞう)HP
http://www.ryuzo3.net/

年譜
1976   神戸市生まれ
1995   岡山県立総社南高校卒業
2000   高知大学特設美術学科教員養成課程卒業
    現在、岡山県笠岡市にて制作活動中

個展
1998   「RYUZO三」〜砂の引力〜ギャラリ−ファウスト現代企業企画第一回展(高知市)
2000   「RYUZO三」〜十中八九ワニ〜ギャラリ−K(倉敷市)
2001   立体壁画のためのドロ−イング〜喫茶・メフィストフェレス(高知市)
「RYUZO三」〜不滅の標〜 グラフィティ(高知市)
「川埜 龍三の世界」〜彫刻と絵画の32章〜笠岡シーサイドモール(岡山県笠岡市)
2004   コロリン・コロラド展〜ギャラリーひらた(笠岡市)
サンボンバ U 〜コードネーム・D−9(デク)〜おもちゃの国 にしおか(笠岡市)
2005   RYUZO三」〜沈黙にたまる雨〜スペ-ス甦謳る(ソウル)(広島県福山市)
サンボンバ V 展〜コードネーム・D−9(デク)〜(おもちゃの国 にしおか)
「RYUZO三」〜SELECCIONADOS VOL.1〜テーラー・ロンドン (岡山市)

グループ展
1996   「さるのポケット」グル−プ第一回展 ギャラリ−ファウスト(高知市)
「さるのポケット」グル−プ第二回展 ギャラリ−ファウスト(高知市)
1999   「ヤンガ−ア−ト2000-1展」  高知県立美術館
「クロスオ−バ−10」 岡山総合文化センタ−
2000   「土佐和紙展」 ハバナ・ビエンナ−レ関連企画(キュ−バ)
2001   「土佐和紙展」 星ヶ岡ア−トヴィレッヂ(高知市)
2002   「笠岡の造形―古代から現代まで」(笠岡市立竹橋美術館)
2003   現代作家の眼・アートウェーブ 岡山巡回展
「平面・10人の現在2003」 (笠岡市・勝央町・高梁市)
2004   「サマークリスマス」ライブステージ背景画制作 笠岡グランドホテル(笠岡市)
2005   「若き画家たちからのメッセージ展」 すどう美術館 (東京銀座)
「ART MARKET GO!GO!」 茶処 茶兵衛(広島県深安郡神辺)

壁画
2000   27メ−トルシャッタ−壁画制作 わらじ屋(高知県安芸市)
2000
〜01
  立体壁画制作 喫茶メフィストフェレス外壁(高知市)
2001
〜03
  彫像壁画「感覚サレルベキモノ」 おかやま山陽高校永久設置

賞歴
1999   「陶土オブジェコンテスト」大賞受賞 (岐阜県瑞浪市)
2002   岡山県芸術文化賞グランプリ受賞 
2004   岡山県芸術文化賞準グランプリ受賞
2005   福武文化奨励賞受賞
 
著者プロフィールや、近況など。

友利香(ともとしかおり)

「彫刻の街」山口県宇部市在住。子供を通じて児童心理と絵画との関係に興味を持つ。
お気に入り作品は、知れば知るほど、たくさん・・・になりました。
現在、アートを広めようとボランティア活動中。
来年の宇部もスゴイよ〜!またまたアートのお祭します!

『国民文化祭・やまぐち2006彫刻展』
詳細はコチラ
   ↓
宇部の彫刻




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